揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「えっ……?」


一瞬、思考がフリーズしてしまった。

電話の向こうの声は、真吾じゃない。


だけど、確実に聞き覚えのある声。

私の事を『由佳ちゃん』と呼ぶ、数少ない男の人の声。


私は、思わずその人の名前を口にしていた。


「弘登…先輩?」


『そうだよ。それより、何かあった?泣いてるのっ?』


電話の向こうの先輩は、凄く心配そうに尋ねてくる。


どうやら私は…間違えて先輩に掛けてしまったらしい。


「ごっ、ごめんなさいっ。私、間違えて……」


「由佳ちゃん?」


次に聞こえて来た声は…携帯からじゃなかった。

携帯に向かって必死に謝っていた私の、すぐ後ろから聞こえてくる。


「えっ?」


驚いて振り向いた先にあったのは。

携帯を片手に、こっちに向かって歩いて来る先輩の姿だった。
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