揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「遅くなって、ごめん」


少し息が荒そうに見えるのは、走って来てくれたからだって思っていいのかな?


たった一週間、会わなかっただけなのに。

何でこんなに懐かしく思うんだろう?


ほんの少し、顔つきがシャープになった気もするし。

元々大人びていた目は、更に深みを増したようで。


凄く…ドキドキしてしまう。


名目上はつき合ってるんだとしても、気持ちの上ではすっかり片想いをしている感じだったから。


「来てくれたから…いいよ」


答える声は、何だか自分でも震えてるのが分かるぐらいで。


私、大翔君に緊張してるんだ……。


「じゃあな、ガキんちょ。由佳の事泣かせんなよ?」


私の横を通り過ぎ、諒斗は命令口調で彼にそう声を掛けた。


「幸せにできないなら、いつでも由佳はもらうから」


続いて通り過ぎた真吾の、優しいけれど芯のある声。


大翔君はそんな2人を軽く見上げながら、自信ありげに笑みを返していた。


「幸せにするに…決まってんじゃん」


その言葉は、私を取り巻いている不安を少しずつ溶かしていって。

代わりに、喜びで包んでくれる気がした。


たとえ、この言葉が嘘だったとしても。

こんなにも私は嬉しいんだよ。


「じゃあな、由佳っ」


諒斗の声を機に、2人はアイツの家の方へと向かって行き。

笑顔で手を振った2人に、私も大きく手を振り返した。
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