揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「親子どんぶりっていうのは、親子と関係を持つっていう事なの。もしオッサンが俺の父さんになったら、まどかさんは親子どんぶりしたってわけ」


鼻のてっぺんもぶつかってしまいそうなぐらいの距離。

真っ直ぐに私を見ながら説明する彼を、私もとりあえず見つめ返す。


「問題は、『あっちも親子どんぶりになるところだった』ってトコ。『あっちも』って、どっちなんだろうね?」


「えっ?」


彼の話を頭の中で組み立てていくと。


まどかさんは、先輩と大翔君と関係を持ってるから『親子どんぶり』なわけで。

あっちもって事は、他にも先輩と大翔君の両方と関係を持つ人がいるって事よね。


え……?

それって、もしかして私の事?


『もうちょっとで』って事は、未遂なわけで。

それって、やっぱり私の事を言ってるんじゃないのっ?


「俺が親子どんぶりされる人って、限られてくるんだけど?」


「あっ、そのっ、えーっと……」


弘登先輩は、私と関係を持ちそうになった事を大翔君に言っちゃったんだ。

まぁ、内緒にしとける事じゃないんだけどさ。


でもこんなトコロで、いきなり問い詰められるなんて思いもしなかったから。

うまい言葉が見つからないよぉ。


「俺の知らない間に、オッサンといろいろあったみたいだね?」


「いや、そうでも……」


そろそろ彼を直視できなくなってきて、私はさりげなく視線を外していった。

だけど、彼は簡単には外させてくれない。
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