冬うらら 1.5
□
「あ…」
メイも、何を待っているのか分かったのだろう。
毛布の隙間から、白い腕を出してきた。
「きゃっ」
両手を出そうとしたものだから、毛布が落ちそうになって、メイは慌てて押さえる。
今度は、脇で毛布を押さえるようにしながら、両手を出してきた。
そう。
ネクタイは、まだ蛇のまま、ぶらんと首にぶら下がっていたのだから。
きゅっ。
彼女の指先が喉元まで上がってきて、ネクタイはきちんと所定の位置に納まった。
「はい……気をつけて…今日は、ごめんな…」
メイが、いろいろ言おうとしている。
しかも、また謝ろうとしている。
カイトは、ばっと彼女の方をきちんと向き直ると、強く唇を重ねた。
聞きたくない言葉を飲み込むためだ。
「行ってくる」
唇を離すなり、身を翻してカイトは部屋を出ていった。
あんまり早く出過ぎて―― 行ってらっしゃいさえ聞くことが出来なくて、カイトはすごく損をした気分を味あわされたのだった。
「あ…」
メイも、何を待っているのか分かったのだろう。
毛布の隙間から、白い腕を出してきた。
「きゃっ」
両手を出そうとしたものだから、毛布が落ちそうになって、メイは慌てて押さえる。
今度は、脇で毛布を押さえるようにしながら、両手を出してきた。
そう。
ネクタイは、まだ蛇のまま、ぶらんと首にぶら下がっていたのだから。
きゅっ。
彼女の指先が喉元まで上がってきて、ネクタイはきちんと所定の位置に納まった。
「はい……気をつけて…今日は、ごめんな…」
メイが、いろいろ言おうとしている。
しかも、また謝ろうとしている。
カイトは、ばっと彼女の方をきちんと向き直ると、強く唇を重ねた。
聞きたくない言葉を飲み込むためだ。
「行ってくる」
唇を離すなり、身を翻してカイトは部屋を出ていった。
あんまり早く出過ぎて―― 行ってらっしゃいさえ聞くことが出来なくて、カイトはすごく損をした気分を味あわされたのだった。