冬うらら 1.5
◎
「え、あの…その……」
一瞬面食らった顔が、かぁっと真っ赤になった。
多分、かなりいろんなことを思い出してしまったのだろう。
一体何を!
ハルコは、もう本当に吹き出すのをこらえるのが大変だった。
彼女が、あまりに素直だったこともだが、赤面して言葉を失うしかないようなことを、あのカイトがいろいろしたのかと思うと、おかしくてたまらなかったのだ。
しかし、ぐっとこらえる。
でないと、メイが警戒して、だんまりになってしまうかもしれないのだ。
「あら…幸せそうね」
さりげなく、当たり障りのない決着をつけてやりながらも―― しかし、にっこりは深々と彼女の唇からこぼれてしまった。
こらえきれなかった破片だ。
お茶もケーキもまだある。
時間は、まだたくさんあるのだ。
ゆっくり話を聞いても大丈夫なはずだった。
なのに来客を告げるチャイムが、彼女の邪魔をした。
首をひねりながらメイが玄関に出ていく。
セールスかしら?
そう思いかけたハルコは、『もしかしてソウマが来たんじゃ!』という疑惑が一瞬よぎり、そうして拭いきれなかった。
我慢できなかったのかしら、と思っていると。
それは、すぐに濡れ衣であることが分かった。
ツナギに工具箱を持った男の二人組を連れて、戸惑った顔のメイが帰ってきたからである。
青いツナギには『○×ガス』と書いてあった。
「あら? ガスの点検?」
ハルコは、夫の登場でなかったの拍子抜けしながらそう聞いた。
しかし、メイが困惑した顔をしている。
「いえ、違います。ガス給湯器の工事です」
青いツナギの片方。
年輩の方がよどみない口調で答えると、奥の調理場の方に入って行った。
給湯器の工事?
ハルコは怪訝な目のまま、メイを見る。彼女も首を傾げている。
「え、あの…その……」
一瞬面食らった顔が、かぁっと真っ赤になった。
多分、かなりいろんなことを思い出してしまったのだろう。
一体何を!
ハルコは、もう本当に吹き出すのをこらえるのが大変だった。
彼女が、あまりに素直だったこともだが、赤面して言葉を失うしかないようなことを、あのカイトがいろいろしたのかと思うと、おかしくてたまらなかったのだ。
しかし、ぐっとこらえる。
でないと、メイが警戒して、だんまりになってしまうかもしれないのだ。
「あら…幸せそうね」
さりげなく、当たり障りのない決着をつけてやりながらも―― しかし、にっこりは深々と彼女の唇からこぼれてしまった。
こらえきれなかった破片だ。
お茶もケーキもまだある。
時間は、まだたくさんあるのだ。
ゆっくり話を聞いても大丈夫なはずだった。
なのに来客を告げるチャイムが、彼女の邪魔をした。
首をひねりながらメイが玄関に出ていく。
セールスかしら?
そう思いかけたハルコは、『もしかしてソウマが来たんじゃ!』という疑惑が一瞬よぎり、そうして拭いきれなかった。
我慢できなかったのかしら、と思っていると。
それは、すぐに濡れ衣であることが分かった。
ツナギに工具箱を持った男の二人組を連れて、戸惑った顔のメイが帰ってきたからである。
青いツナギには『○×ガス』と書いてあった。
「あら? ガスの点検?」
ハルコは、夫の登場でなかったの拍子抜けしながらそう聞いた。
しかし、メイが困惑した顔をしている。
「いえ、違います。ガス給湯器の工事です」
青いツナギの片方。
年輩の方がよどみない口調で答えると、奥の調理場の方に入って行った。
給湯器の工事?
ハルコは怪訝な目のまま、メイを見る。彼女も首を傾げている。