愛かわらずな毎日が。
「部長と、主任と、………。まぁ、結局はこうなるのよね」
ブツブツ言いながら包丁を握る香織。
「えへへ。……あ、そうだ。ケーキは今いる人だけで分けるんですよね?間宮さんの分、どうします?一本しかないし、ナシでもいいと思いますけど」
香織の隣で指を折りながら数をかぞえていた森下が首を傾げた。
「……あんたってやつは、」
「だって。どうせ福元部長とイチャイチャしてるんでしょう?しばらく帰ってきませんよ。
それに。仕事中にイチャイチャしてる人にケーキを残してあげるなんて。そんなのずるい」
森下が頬を膨らませた。
「ずるい、……って。なに、その幼稚な考え。
それに、あのふたりはそういうんじゃないでしょう?イチャイチャなんて言葉を使うのはどうかと思うけど」
「やだなぁ。好きな人と一緒にいるんですよ?
そりゃ、イチャイチャするに決まってるじゃないですか」
「だからね、それはふたりが、………」
何かを言いかけた香織がロールケーキを切る手を止めた。
「香織さん?どうかしました?」
森下は香織の顔を覗き込むように上体を前に倒した。
「それは、ふたりが付き合っていれば、…って話で。お互いがお互いのこと、…………。
でも……。あのとき私たち、喋ってたよね」
「は、……い?」
「さっき、コピー機の前で喋ってたじゃない?
そのとき私、福元さんと目が合ったんだけど」
「………それがどうかしたんですか?」
「だって。ヒマそうにしてる私たちを見ても、
福元さんはわざわざ愛に声を掛けたのよ?」
「………あ。それって、」