愛かわらずな毎日が。
「さてと。ケーキ、切り分けてこようかな」
香織がコピー機の前から離れると、森下もその後に続いて給湯室へ向かった。
「………まったく、もう」
箱から出されたまま放置されていたロールケーキを見て苦笑いする香織。
そんな彼女に森下が声を掛けた。
「私が切り分けましょうか?」
「え?」
香織の返事を待たずに蛇口から流れ出る水で手を洗いだした森下。
「いいの?」
いつもはやりたがらないくせに、とでも言いたげな表情の香織に、森下は笑顔を見せた。
「その代わりと言ってはなんですが。
台帳の整理、お願いしてもいいですか?」
「……………なるほど。そういうことね」
「だってぇ。私ひとりじゃ、終わりそうにないんだもん。香織さんだってそう思うでしょ?
今日中には片付けられない、って。思いますよね?」
「そうね。はいはい、わかりました。やらせていただきます」
「やったぁ。こっちが終わったら、すぐにお手伝いしますから」
「はいはい」
それじゃあお願いね、と給湯室を出て行こうとする香織を森下が呼び止める。
「ところで。これ、いくつに切り分けたらいいですか?」
「………………」