愛かわらずな毎日が。

「だって。ここには書かなかったけど、……っていうか。書けるような内容じゃ、なかっただけなんですけど。鈴木のオジサ、……鈴木様が。
……見合いの話、……早く返事を……返事くれ、って言うから」

握りしめていた手に力が入ると、持っていたメモ用紙がクシャリと音を立てた。


のどの奥がチリチリと熱くなって。

鼻の奥もツンと痛くなって。


「そういうの、………私、訊いてなかったから」


なんだかまた、泣いてしまいそうだ。


ふぅっと短く息を吐いた福元さんが、おいで、と言って私の左手を取る。

それでも私は喋り続けた。


「断らなかったのかな、……って。保留にしておくのは、私に……、原因があるんだと思って。それで、」


そうでもしないと、涙がこぼれ落ちてしまいそうで。


「そっか」

福元さんは私の手からメモ用紙を抜き取ると、そこにできたシワを伸ばしながら立ち上がった。

そして私を自分の椅子に座らせると、受話器を上げ、細くてゴツゴツした指でメモ用紙に書かれた番号を押していく。


呼出音を聞きながら、パタパタと、手にしていたメモ用紙を動かす福元さん。

ちょっぴり伸びた前髪がふわりと揺れるのを、鼻をすすりながら見ていた。


きゅんと、胸が鳴く。


こんなときですら胸をときめかせてしまう私は、どうかしてる。

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