愛かわらずな毎日が。

「お忙しいところ、申し訳ありませんでした。
コーヒーも。ありがとうございました」


「いえ、」


「それじゃあ、」


「……はい」


「あ。……食事の件は、また、」


「えっ、……あ、」


カップ片手に給湯室を出ていく青山さんの背中を、ただ見送ることしかできなかった。

手にしていた福元さんのマグカップに視線を落とすと、自然とため息がこぼれ落ちる。


……どうしよう。


考えなくちゃいけないことは、いろいろある。

それでも。


どうしよう。


そんな言葉しか浮かんでこない。


焦燥感というやつだろうか。

考えようとすればするほど、息苦しくなる。


でも。

「………どうして、」

そう口にしたあと、答えを求めるように福元さんへと視線を移した。


少し丸まった背中。

受話器を持つ、男の人らしい骨張った手。

すっきりとした襟足。


給湯室から見える福元さんの姿は、いつもと変わらないのに。


『邪魔して悪いけど』

『悪いけど、俺にも淹れて。砂糖も』


初めて知った。

あんな福元さんを、私は見たことがない。


これじゃあ、なんて声を掛けたらいいかもわからない。


「スーッ……、ハァーッ……」

コーヒーの入ったイエローグリーンのマグカップをトレーにのせ、深呼吸を繰り返す。

緊張で強張った顔を見せたくはない。

給湯室を出る前にもう一度大きく息を吐き出して、福元さんの元へと向かった。

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