愛かわらずな毎日が。
「……えぇ。そうですね。……はい」
福元さんは一枚のメモを手に電話をしていた。
「資料をお持ちして、………はい。
来週にでも、一度そちらにお伺いできればと思うのですが」
だからって。
すぐそばに立っている私の方を、チラリとも見ないなんて。
仕方なくマグカップを机に置くと、福元さんはメモを持つ手を軽く挙げてそれに応えてくれた。
でも。やっぱり。
こっちを見てくれない。
「……………」
のどの奥がじわじわと熱くなっていく。
私はトレーを抱えて会釈をすると、泣き出しそうになるのを必死に堪えて給湯室へと戻った。
胸の奥が握りつぶされたみたいに痛い。
モヤモヤした気持ちを吐き出せない代わりに、微かに残るほろ苦いコーヒーの香りを思いっきり吸い込むように鼻を鳴らした。
ダメだ。
ここには居られない。
というか、居たくない。
「なんですか、これ。戻りが遅かったくせに白紙状態って。あり得ませんよ。もーっ。ほんと、何してたんですか!」
頬を膨らませ、グチグチと文句を言う森下の顔が浮かんだけれど。
しょうがないじゃない。
このまま同じ空間で仕事をするほど、私はデキた人間じゃない。
ロッカーの上に放置していたクリップボードを手に取ると、そのまま逃げるようにして営業部の部屋を出た。
福元さんは受話器を置いたって、私の名前を呼ぶことはなくて。
「コーヒー、ありがとう」
そう言ってくれたなら、何かが違っていたかもしれないのに。
………福元さんの、ばか。