愛かわらずな毎日が。

「少し歩こうか」

そう言って私の手を引いて歩き出した福元さんの左手を、きゅっと握った。


「ねぇ、福元さん」


「あはは。今度は、なに?」


春の風が揺らした桜を背に、目を細めて笑う福元さん。


「あのね、」


好き。

大好き。


「これからも、ずっと。隣に居たいと思うのは、福元さんだけ。触れたいと思うのも、福元さんだけ」


なにがあっても。

絶対に。


「嬉しいこと言ってくれるね」

そう言った福元さんは目を細めたまま。


そんなふうに余裕の表情ってやつを。

私もしてみようか。


「私には福元さんだけ。だから、安心して」


そう言って。

フッと目を細めて笑ってみせるんだ。


どう、かな。

少しは揺さぶることができただろうか。


「そっか。……うん」


クイッと眉を上げた福元さんが、きゅっと繋いでいた手に力を込めた。

そして。


「ねぇ、」と。

私を真似るかのように少し甘えた声で言う。


「うち、来る?」


「……えっ!?」


「泊まっていってよ」


「あ、……」


「一緒にいたい」



「………わたし、も」



いつだってドキドキさせられて。

その度に余裕でいられなくなる私。


胸の奥がきゅっと締めつけられて熱くなるのは、隣に福元さんがいてくれるから。


なにがあっても。

これからも、ずっと。


一緒にいて。



「………一緒に、いたい」
















【END】

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