愛かわらずな毎日が。

……まったく。

なんでそんな冷静なフリができるのかね。


『愛ちゃん狙いなのは確かだ』

『あいつ、食事に誘うとか言ってたぞ』


俺の言葉にいちいちフリーズしてたくせに。


平気なフリしてんなよ。


あぁ、なんか。

いっそのこと。


どっかーん、と。


池谷のやつ、やらかしてくれないかな。


ふたりの仲をかき回すくらいしてくれたら。

そしたら。


福元だって、俺に本音のひとつやふたつこぼすだろうに。


「おまえさ、もうちょっと危機感っつーか。
そういうの、持ったほうがいいんじゃないの?」

「予防線を張っておけばよかった、って。後悔しても遅いんだからな」


ふわふわとした意識の中、多分、そんなようなことを言った気がするんだけど。


福元も。

「彼女に余計なことは言わなくていい」

とか。そんなようなことを口にしていた気がするんだけど。


酔っててあんまり憶えてないからさ。


だから、つい。

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