愛かわらずな毎日が。

真斗たちを見送ったあと、胸が、きゅうっと締めつけられたように苦しくなった。

さっきまで子どもの笑い声が響く賑やかだった家が、いつも通りの静けさを取り戻す。


切ない、っていうか。

さみしい、っていうのか。


あっという間に紺色に染まった空を見上げ、長く息を吐き出した。


子どもって、いいな。

家族って、いいな。


ふと、

『あいちゃんは、けっこんしないの?』

桃奈に言われた言葉を思い出した。


「結婚、……ね」


その二文字を、以前よりも意識していることは自覚してる。


みつひろと付き合っていた頃よりも。

福元さんと付き合いはじめた頃よりも。


その二文字を意識してる。


福元さんは。


「考えたりするのかな」

私との未来を。


「考えたり、……したのかな」

あの人との未来を。


「やめた。」

一昨日に見たあの人の顔を、頭の中から追い出すように首を横に振った。


過去は過去。

あの人は、過去の人。


そう自分に言い聞かせるように、何度も何度も繰り返す。


冷たい空気を吸い込むと、胸の奥がビリリと震えた。


福元さんに会いたい。


あの人とどうだったとか。

そんなの、どうでもよくなるくらい。

気にならなくなるくらい。


きつく抱きしめてもらいたい。

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