愛かわらずな毎日が。
今だってそうだ。
あの人も。この場所から福元さんのことを見つめていたんだよね、って。
そう考えただけで、くっきりと浮かび上がってくる。
助手席に座るあの人が、やわらかな表情をして福元さんを見つめているところ。
テレビ画面に映し出された映像を観ているというよりも、後部座席から眺めているような。
それくらいリアルに浮かび上がってくる。
あの人を目にしただけでこんなにも胸が痛むのだから、あの人の情報を耳に入れてしまったら、この胸の痛みはどれほどのものになるだろう。
あの人と福元さんの過去を知ってしまったら。
これから先、福元さんと過ごす時間の、ふとした瞬間に浮かんできてしまうに違いない。
私はそれを振り払うことも、消すこともできずに、自分と比較して。嫉妬して。
福元さんを困らせるくらい冷静さを欠いてしまうかもしれない。
「…………、」
そう考えると、言葉がのどにつっかえて。
次から次へとこみ上げてくるのに、つっかえてしまって。
熱くて。苦しい。
吐き出してしまえばラクになる。
でも。
吐き出して後悔したくはない。
知りたい。知りたくない。
その間で揺れる。
ゆらゆらと、揺れる。