愛かわらずな毎日が。
「外は冷えるから」
福元さんはそう言うと、車の中からでも夜景の眺められる場所に車を停めた。
何度か連れてきてもらったことのある、地元では名の知れた夜景の見渡せる公園だ。
結局、ここに来るまでの間、あの人のことを訊くことはできなかった。
正面を向いたままゆっくりと瞬きを繰り返す福元さんは、私の言葉を待っている。
待ってくれている。
これ以上、福元さんを困らせてはいけない。
なにか言わなくちゃ。
なにか。
ドクドクと、心臓の動きが速くなる。
「………金曜、の、」
思いきって発した言葉が震えて響いて。
焦る私の指先がピクンと跳ねた。
俯いていても、福元さんの視線がこちらに向けられたのがわかる。
頬が熱い。
のどが熱い。
「金曜、に……」
その後につづく言葉を必死に探した。
意気地なしの私は。
核心に触れることを躊躇い、ぐるりと回り道をするような言葉を。
自分が傷つかないような言葉を欲していた。
バカみたいに。