愛かわらずな毎日が。

「相談なんて。……ただの、口実かも」


吐き出した言葉が頭の中でビリリと響いた。

目の奥がジンジンと熱くなる。


きっと。

「愛おしい」って感情に蓋をするような、玲香さんのあの笑顔がこびりついているせい。


チラつく『復縁』の二文字。

ドクドクと脈打つ心臓が痛い。


私の考えてることなんてお見通しであろう福元さんが、私の頭を優しくひと撫でして言った。


「彼女、結婚してるんだ」


「………ぇ、」


予想外の言葉だった。

驚き跳ねた心臓が物凄い勢いで脈打っている。


なに、それ。

ちょっと待って。


「それ、……って、」


『結婚』

その単語の意味は理解できる。

でも。

その単語と玲香さんとを結びつけようとしても、何故だかうまくいかない。

すんなりと結びつかない。


だって。

結婚、って。

結婚してる、って。


それって。


思いやれなくなった相手というのが「夫」である、と。

そういうことでしょう……?


だったら、なおさら。


「なんで……。そんなこと、……福元さんに相談するの、」


福元さんから体を離した私は思わず口に出してしまった。


私の体に置いていた手をハンドルに移動させた福元さんは、フロントガラスの向こう側に視線を向けると口角だけを上げた。


「ほんと。なんでだろうね」

そんな言葉が聞こえてきそうな横顔だった。

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