愛かわらずな毎日が。
「大丈夫だよ」
あの頃とは違うから、と付け足した福元さんがそっと手を伸ばし、私の右頬を優しく包み込んだ。
「違う、って……?」
福元さんの手の温もりに少しばかり緊張してしまった私は、福元さんをチラリと見たあとスンと鼻を鳴らした。
福元さんは小さく微笑むと、
「俺の知ってる彼女と。」
そう言ったあと、どこか遠くを見るような目をした。
「違うから、大丈夫……なの?」
福元さんの手に自分の右手を重ね、訊く。
右の頬で重なるこの手の温もりを、福元さんも同じように感じてくれているだろうか。
コクリとのどを鳴らした私に、福元さんはやわらかな表情を見せてくれた。
「相談にのってほしい、って言われたけど。
もう既に、彼女の中で答えは出てたんだ。
ただ、自分の出した答えを肯定してもらいたかったというか。
背中を押してもらいたかったんだと思う」
ゆっくりと話す福元さんの視線が真っ直ぐ私に向けられる。
玲香さんがした相談の内容も。
玲香さんの笑顔に隠された本当の想いも。
私にはわからない。
でも。
「彼女は、この先も彼といることを選んだ。
彼が彼女を変えたんだ」
福元さんが嬉しそうに目を細めて言うから。
「福元さんがそう言うなら…、きっと大丈夫ですね」
私も同じように目を細めて笑ってみせた。