愛かわらずな毎日が。
私の中でしこりとなって残るかもしれない。
でも。
訊かずにはいられなかった。
「申し訳ない」って表情を使って、溢れ出す感情に蓋をするみたいに笑っていた玲香さんが、あのとき、何を想っていたのか。
「……福元さんを見たときの。あのときの表情が、私の中で……。やっぱり、引っかかっていて」
グラスについた水滴を拭う指先が冷たい。
目の奥で揺れる感情をなんとか鎮めようと、呼吸を整える。
深く吸い込んだ、ほろ苦いコーヒーの香りが脳を刺激する。
福元さんは、大丈夫だよ、と言ってくれた。
玲香さんの中に、恋愛感情なんてものは残っていないと教えてくれた。
それなのに。
「福元さんのこと、今でも」
そう訊いてしまった。
玲香さんは、あ……、と口を開くと、真っ直ぐに私を見た。
そして、
「違います。」
はっきりとそう言ったのだ。
胸がチクリと痛んだ。
後悔の二文字は、少し前から浮かんでいたはずなのに。
私は知らんぷりをする。
そうでもしないと、ここに座っていられない。
だって。
私、玲香さんを傷つけてしまった。
「……彼とのことは、思い出として残してはあるけれど。今は、むかしの……、あの頃のような感情は、まったくなくて」
「…………」
「ただ、懐かしくて。
あの頃の彼に抱いていた感情が、表情に出てしまったのかも。
あの頃は、確かに。……彼のこと、……愛してたから」