愛かわらずな毎日が。


とりあえず、部屋を暖めて。

それで。それから。


倒れ込むようにしてソファーに預けた体が、ずっしりと重たく感じる。

首に巻いたストールもそのままに、かれこれ1時間。

ソファーに横になったままの状態で、私はただ息をするだけ。


何から悩めばいいのか。

悩めば済むものなのか。


そんなことを考えてたら、涙腺が崩壊しそうになって。

だから、ただ息をすることだけに集中した。


しばらくして、

「………愛?」

リビングのドアが開いた後、静かに響いた声。


上着も脱がずにソファーの前に腰を下ろした福元さんが私の顔を覗き込む。

「どうした?体調でも悪い?」

心配そうなその表情がぼんやりと滲んでいく。


あぁ、だめだ。


「………っ、」

言葉を発しようとしたけれど、それよりも先に涙がぽたぽたとこぼれ落ちてしまった。


「愛、」

福元さんの右手が、横たわる私の左肩をそっと包む。


「………ごめ、なさい」


「何?どうした?」


「わ、たし……」


「うん」


「玲香さんの、こと……。
………、た」


「……え?」


「………傷つけた」


その言葉を口にしたとき、私は、ぎゅっと握りしめた拳を目にあてていたから。

福元さんがどんな表情をしたのか、見ることができなかった。

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