愛かわらずな毎日が。
二階の自分の部屋に戻ると、電気もつけずに缶ビールのプルタブに指を引っかけた。
真っ暗で静かな部屋に、プシュッと音が響く。
ドアにもたれ、立ったまま、流し込めるだけビールを流し込むと、空っぽの胃にチクチクとした刺激が広がる。
「さて、と」
部屋の電気をつけ、半分ほどになったビールをまたひとくち流し込み、ふうっと息を吐き出した。
テーブルにビールの缶を置いた私は、クローゼットを開け、机の引き出しを開け、思い出を引っぱりだす。
心変わりをした彼との思い出。
しがみついたりなんかしない。
残したままにしない。
次々に思い出を箱に詰める。
たったこれっぽっち。
両手で抱え込めるくらいの、小さな思い出。
まだ25だし。
結婚なんてまだまだ先の話。
ズズズッと鼻をすすり、残りのビールを飲み干した。
もう、泣いたりしない。
【END】