愛かわらずな毎日が。
福元さんが会議室を出ていくのを待ってから、
「ちょっと!なんてこと言うの」
机をバンバンと叩きながらそう言った。
「いいじゃない。あんたのためよ」
香織は悪びれた様子もなく、小さな弁当箱を片付けはじめた。
「は?」
「占いにもあったでしょ。素敵な出会いが期待できそうです、って。積極的に外出しなくちゃ。それに、」
「それに?」
「前にもあったでしょう?部長に書類を届けに行く途中に。素敵な出会いが」
「………あぁ」
あれ、ね。
数年前の、あのことね。
出会いは素敵だったかもしれないけど。
終わり方が、ね。
「外出ついでに出会いを見つけておいでよ。
いくらでも転がってるよ」
とっくに冷めてしまったお茶でのどを潤す香織がにっこりと笑う。
「だけどさ、」
「間宮さん」
「な、によ」
「しおれるのも時間の間題ですよ」
「………え、」
森下の言葉で浮かんできた、香織の弁当箱に収められたしなびたレタス。
可哀想なことに、三角コーナーにでも捨てられるのだろう。
「わかったわよ。行きます、行きます。
福元さんと一緒じゃ、誰も手に携帯の番号なんて書いてくれないと思うけどね」
私はそう言うと、梅干し入りのおにぎりの、最後のひとくちを口に放り込んだ。