愛かわらずな毎日が。
「怒ってる?」
「いいえ。べつに」
そう答えたものの、当然、怒っている。
外出用としてロッカーに置きっぱなしの、履きなれないパンプス。
右手には、紙袋に入った大量のパンフレット。
左手には、福元さんの重たいビジネスバッグ。
ちなみに、福元さんの右手にはシステム手帳、左手には携帯電話。
私とじゃ、明らかに荷物の量が違う。
「ごめんね。荷物、頼んじゃって。
はい。もしもし」
先ほどから福元さんの携帯には、ひっきりなしに電話がかかってくる。
どうやら別件で取引先ともめているらしい。
次から次へと電話がかかってくるとなれば、両手がふさがっていては大変だろう。
……とは、思うけど。
荷物持ちなら新人にやらせればいいのに。
会社から歩いて15分ほどの場所にある取引先に、このパンフレットを届けに行く。
出会いを見つけられるような距離でもないし、状況でもない。
ずっしりと重たい荷物をぶら下げて険しい顔をした私に、誰が声をかけたいと思うだろうか。