愛かわらずな毎日が。
更衣室を出て薄暗い通路を歩く。
静まり返った社内では自然と足音を立てずに歩いてしまう。
やっぱり香織についてきてもらえばよかった。
夜の会社って、なんだか苦手。
早く戻ろう。
「…………あ。」
階段を下りかけた私の足がピタリと止まる。
井沢宛にFAXが届いてるか、確認するよう頼まれていたことを思い出した。
っていうか。
なんで思い出しちゃうかな。
忘れたフリして戻っちゃおうか。
「……………。仕方ない」
私は、はぁっと息を吐き、営業部の部屋へ向かうことにした。
「………よかった」
営業部の部屋の明かりを見て、ホッと胸を撫で下ろす。
まだ誰か残ってる。
「……っていうか。誰だろ」
話好きのオジサンに捕まりたくなかった私は、ドアノブに手をかけたまま中を確認する。
金曜というだけあって、みんな早々と退社したのだろう。
ガラス越しに見た営業部の部屋はガランとしていた。
林さんとか、伊東さんじゃないといいけど。
この間なんて、急いでるって言ってるのに、娘さんの話を30分近くも聞かされたのだ。
その前は確か、競馬の話だった。
「……………ぁ、」
ガラスにおでこをくっつけて部屋を覗いていた私の心臓が。
ドクン、と跳ねた。
机に積まれた何冊ものファイル。
それを一冊手に取り、中を確認するその人は。
「………福元、さん」