愛かわらずな毎日が。
「ちょっと、取りに行ってくる。今、何時?」
「8時半」
中里がゴツイ腕時計で時間を確認してくれた。
「誰か、いるよね」
バッグを肩にかけ、席を立つ。
ここから会社まで、そんなに距離はない。
「すぐ戻る」
「ひとりで大丈夫?」
香織が、一緒に行こうか?と腰を浮かせたけれど、
「大丈夫」
と笑顔で答えた。
「あっ、そう、だ!……ちょ、ま、って」
「えーっ?なによ」
なにを口に入れたのかわからないけど、井沢が物凄い勢いでモグモグと動かしていた口を手で覆い、
「ついでに、…俺宛に、FAX、届いてないか、……見てきてよ」
そう言った。
「……ありえないんだけど」
井沢の言葉に小さく息を吐き、店を出た。
「すみません。忘れ物を取りに来ました」
この時間は正面玄関が施錠されているため、裏口へまわり、警備のオジサンに社員証を提示して中へと入った。
急いで更衣室に向かい、ロッカーの中を確認する。
「あった…」
ロッカーの中でチカチカと光を放ち、メール受信を知らせていた携帯。
メールは、明日会う約束をしていた友達からだった。
子どもが熱出したから、明日の約束キャンセルさせて!ごめんね。
「……なんだ。楽しみにしてたのに」
了解。また今度ね。
お大事に!
それだけ返信すると、携帯をバッグに放り込んだ。