愛かわらずな毎日が。
「さて、と」
ある晴れた日の午後。
一本のロールケーキを前に腕組みをする。
「貰い物なんだけどね。適当に切り分けて食べてよ」
田辺部長がそう言って持ってきてくれたのだ。
総務部全員に行き渡るように切り分けるには、少し無理がある。
「部長と、今いる人だけにすると……」
給湯室で包丁片手に考えていると、
「間宮さん。ちょっといいかな?」
そう声をかけられた。
ドクン、と心臓が跳びはねる。
この声は。
勢いよく声のした方を向けば、ヒョイと中を覗き込むように立っていた人と目が合った。
やっぱり。福元さんだ。
「お……、お疲れ様です…っ」
「お疲れ様」
「お疲れ様、です」
………あ。二回、言っちゃった。
恥ずかしさのあまり、カァッと顔が熱くなったけれど。
それでも、福元さんから視線を外すことができなかった。
だって。
男の人に対して「可愛らしい」なんて表現は失礼な気もするのだけれど。
軽く握った手を口元に置いて笑いをこらえる福元さんが、とても可愛らしくて。
視線を外してしまうのはもったいない、と思ってしまったのだ。