スノードーム




「夕食?」




そんなヨシくんと同じ方向に首を傾げる私。




「…あ」




そういえば、朝お弁当を預かったときにおばさんから今日は出かけるからヨシくんよろしくと言われたような気がしないでもない。

完全に忘れてた。




「言われた?」


「ん」


「じゃあおばさんによろしく。早めに行くから」




一緒に夕飯を食べるなんて随分久し振りだなぁと思いながらわかったと小さく頷けば、額をコツンと叩かれる。


それがヨシくんなりの返事なのだと受け取った私は、そのまま踵を返し少し離れた場所で待っている雅たちの元に駆け寄った。



だから気付かなかったのだ。



ヨシくんが私を"カンナ"と呼び捨てにしていたことも。


そんな私たちを見ていた先輩の表情も。




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