スノードーム
最悪だ。
先輩の前で泣くのはこの片想いを諦めるときだけだと決めていたのに。
もうどうやっても諦めろってことなの?
告白すら出来ないまま、こんな終わり方酷すぎる。
流れてくる涙が止まらない。
「…え…ちょ…え?彼女って、誰の…?」
手を掴む力が一瞬でも緩んだら、その瞬間全力で走りだそう。
そう思って身構えていた私の耳に届いた先輩の言葉。気の抜けた、声。
その声は更に私のイライラを加速させる。
「誰って、先輩のに決まっ…」
さすがに腹がたって俯いていた顔を思いっきり上げれば、そこには困惑を隠せないといった顔をしている先輩が立ち尽くしていた。