スノードーム




その瞬間、目の前の先輩がフリーズした。

目が点になるとはこういう状態のことをいうのだろうか。全く動く気配がない。


そんな私が躊躇いながらも口にした言葉が正しかったのかもしれないと、さらなる期待をさせたのはその数十秒後のこと。


私の言葉に固まっていた先輩の真っ青だった顔が真っ赤に染まったときだった。




「なっ、え…なん…!?」


「え、だって先輩さっき"私が振り向かないから"って…」


「──────────っ!!」




言いましたよね、と言おうと思った瞬間突然私の視界から消えた先輩の姿。

行き先はわかる。

そっと視線を下げていけば、足元には頭を抱えて蹲る先輩がいた。





< 179 / 200 >

この作品をシェア

pagetop