スノードーム




そう心の中で思っても、それが言葉になることはなかった。


緊張しているせいか喉が引きつって声が出ない。

若干、手も震えてる気がする。


そんな私をよそに、何故かツカツカと私のいる席に向かって歩いてくる先輩。


その顔はどこか怒りを含んでいるように見えて。


何故先輩がここにいるのか。
どうしてそんな顔をしているのか。


何一つわからない私は、ただただ先輩の行動を見ているしか出来ない。


少しずつ近づく距離。



ドク ドク ドク



そのたびに大きくなっていく心音。



ガタンッ



強く響いたその音に、先輩が私の机に手をついたのだとわかった。


声にならない声が二人の間を行き来して。




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