雪人
「地下からか……?」
「――!」
ルイが見当外れの事を言うと思っていたミフレは、間違った時に拳を握りガッツポーズの状態をいつでもできるようテーブルの下で準備をしていたが、思いもよらない返答に握っていた拳と口が開き驚く。そして、またしてもルイに当てられたことに、悔しさが込み上げ唇を噛んだ。
立ったまま何も言わないミフレの様子をルイは窺う。
「まいったよ、ルイには……」
溜め息混じりに呟かれた声は悔しさが滲み出ていた。呆気にとられたような表情でミフレは椅子へと腰を下ろす。
「そうさ……ルイの言う通り、正面から無理なら地下から潜り込んで潜入しようと試みたんだ……」
「自分で言っといて何だが……王都グライドアースまでここから十キロもある。もし掘ったとして、地下トンネルみたいな物が王都に繋がってることになる。非現実的なことだが本当にできるのかよ?」
「確かに……無理みたいな話ね。もしできたとしても……二、三年はかかるわね。それに、もし仮にそんなものが在ってもバレない保障はどこにもないわ。見つかったら全てが水の泡になる。それこそリスクが高いわ」
ルイの言ったことにエレミールは相槌をうち、眉を寄せ冷やかな視線をミフレに浴びせる。そんなこと露ほど気にせずミフレは含み笑いを一つ零した。そして、ダントと大きな声で呼ぶ。
呼ばれて扉を開け、部屋から出てきたダントは嫌そうな顔を全く表面にださず、笑みを浮かべミフレの傍に立つ。
ミフレは傍に立つダントを指先を動かし耳を貸すよう催促して、ダントの耳元で何か話す。話し終えたダントがミフレに向かって頷き、出てきた扉と違う扉の部屋に入っていった。その行動を怪訝な表情で見ていたルイとエレミール。何か言いたそうな目が見つめるのを気にしつつ、ゴホンと咳払いして、ミフレは話の続きをする。
「えっと、話を続けるぞ。確かに最初は馬鹿みたいな案が浮かんだと思ったが……なんと、地下水脈の温泉を発見したんだ!」
ババーンと効果音が付きそうな勢いでミフレは立ち上がり、人差し指をを上へと突き出す。それを見たルイが呆れたように溜め息を吐き、ちらっと横を見ると、目を輝かせたエレミールがいた。ルイはこっちもかと、胸中で呟き頭を抱えたくなった。
「温泉が掘れたって本当なの!?」