雪人
 突然城の上に顔を向け驚いている男性を見ていたミフレとダントは何故驚いているのか分からずお互いの顔を見た。

「どうしたんでしょうかね?」

「さぁ、アタシにはわからないな。ん〜城に何か面白いものがあるんじゃないか?」

「そんなわけないでしょ」
 ミフレの言ったことにダントは苦笑し、何気なく城の上の方に顔を向ける。そしてすぐに処刑される男性と同じように驚愕の表情を浮かべた。その様子を横で見ていたミフレもすぐに城の上の方に顔を向けた。魔術師がどうして二人も、というような思いが二人の胸の内に浮かび上がる。そんな二人などお構いなく処刑台に立つ男性が穏やかでない表情で、相変わらず目や髪色のわからない女性魔術師に近寄る。

「王女の傍に立っていた魔術師が操ってるんだな?」
「魔術師じゃなく正確には魔導師よ。そうよ、あいつが操ってるわ」

「それはわかった。だが……解せない。お前は何故こういう場でそんなことを言うんだ?」

 男性は訝しげな表情で目の前に立つ人物に目を向けた。その質問に対して女性魔術師は背を向けて反応せず、首を固定する装置の傍まで近付いて男性に振り返った。

「あなたには関係ないわ。それより、処刑の時間よ」

「そうか……わかった。今行く」

「あら、やけに潔いわね。死が恐くないの?」

 女性魔術師は嫌らしい笑みを口元に浮かべ、近づいてくる男性に問い掛けた。だが、すぐに自分の言ったことが意味のない問い掛けだと分かる。男性の表情は今にも死が恐くて怯えているわけでもなく、目の前の死を受け入れている表情であった。女性魔術師はそれを見て、フッと微かに笑う。
「あんた、面白い奴ね。死ぬには少し惜しい男だわ。せめて、処刑するときはなるべく痛みが無いようにするわ」

「お前に言われたくないな。処刑する立場の人間の言動じゃない。だが、その方が助かる」

「わかったわ。任せといて」

 男性は首を固定する装置へと自分の首をかける。それを見た女性魔術師は右手に魔力を込めながら男性に言った。

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