雪人

 長々と処刑執行するまでの話をし終えたミフレは、フゥと長い息を吐き疲れたような表情をする。その話を聞いていたエレミールは悲しい面持ちで、薄らと瞳に透明な膜を溜めて、気落ちするように俯き、細筆で流麗にかかれたような綺麗な眉を下げる。
 ルイはミフレが話してくれた処刑のことを冷静に考える。魔導師という言葉を聞いて頭に引っ掛かり、此処にくるまでにマスターの言った言葉を思い出した。3年前に一人の魔導師が現われたことを。そして今、ミフレが話してくれた処刑の時のことでは魔術師という名の女が一人増えていた。困ったことに、何を考えてるか分からない女性魔術師に、素性もなにも分からない性別不詳の魔導師。どうするか対処に困る。倒すのに少しぐらいは情報がほしかったなあと思い、少しがっかりした。
 疲れたように椅子にもたれかかり、上を見ているミフレにルイは話し掛ける。

「話し疲れてるところ悪いけど、地下トンネルはどこにあるんだ?」

 ルイに話し掛けられ、顔を上に向けていたのを正面に戻し、ミフレはルイに視線を向ける。そして、思い出すように掌をポンと叩いた。

「あ、そうだったな!
よし、今見せてやる。ダント!」

 ミフレが大きな声でダントに呼び掛けた。するとすぐに、ルイ達の目の前にある石のテーブルが音をたてながら、階段の方へとずれていく。現われたのは王都グライドアースへと続く、地下トンネルの入り口だった。開け放たれた入り口からは冷たい風が流れ、僅かに明かりが漏れ階段を薄く照らす。それを感慨ぶかそうに見下ろしながらルイはミフレに問い掛けた。
「これが入り口か……王都までどの位かかるんだ?」

「歩いて八時間と走って二時間だな。もちろん走っていくよな?」

「ああ。エミルもそれでいいな?」

 エレミールは二人の会話を聞かずに眠むそうにしていると、ルイに話し掛けられ同意を求められた。話の内容がわからないけど取り敢えずエレミールは頷き、眠さによって垂れてくる目を擦りながら二人を見る。

「私……眠くなってきたから、そろそろ寝てもいい?」

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