雪人
「意味の無い戦いですか……。じゃあ、戦いには意味がないというなら、それ付け加えたらいいでしょうが。弱いものを強いものが踏み潰すという優越感に浸る欲求を」

 狂ったように魔導師は笑いだした。これから戦争という玩具を見つけた喜びを体現するように。
 顔がローブに隠れ見えないが、狂喜に顔を歪めているだろう姿に魔導師は胸の内に嫌悪感が広がる。そして、戦争を自分には止めれないことを悟った。
 顔を横に向けていたのを正面に戻し、未だ笑っている魔導師に話し掛けるのも嫌そうに口を開いた。

「戦争したきゃすればいいわ。私は一切関与しないから。それより、例の奴始末できたの? あと、レジスタンスのアジトも見つかったの?」

「アジトは見つかりましたよ。強化した魔物を五匹送ってますから、そろそろ着く頃ですかね。例の人は始末できませんでしたよ。まあ、最初から結果はわかってましたからね」
 刺客を放って失敗したというのに、怒るどころか待ちどうしいものが来るかのように魔導師が笑っているのを、訝しげに魔術師は見た。

「どうして笑えるかしら、失敗したのよ」

「そんなことは気にしてませんよ。それより、あなたは知らないのですか?疾風の銀狼を」

 魔導師の言葉に訳がわからなく魔術師は首を傾ける。それを見た魔術師は、おや、とわざとらしく声を出す。

「まったくこれ程まで無知の人は困りますね」

 魔導師は肩を竦め、ため息混じり言う。その態度を苛立ちげに見て、魔術師は何か言いたそうに口を開くが、それよりも先に目の前の人物が口を開いた。

「仕方ないですねえ。疾風の銀狼はジハードという組織に所属している傭兵みたいなもんですよ。簡単に言えばですけどね」
「ジハードという組織についてはわかったわ。だけど、それがあなたの喜ぶ理由にならないんじゃないかしら?」

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