雪人
 魔術師の問い掛けを聞いた魔導師は人を馬鹿にするような笑いを漏らす。魔術師は怒りそうになる感情を抑え、話すよう促した。

「無知なあなたにもわかるように教えてあげましょう。約四年前にバーウェンズ高原の戦いがあったのを知っていますね?」
「ええ、知ってるわ。確か一人の少年が争いを終わらせたっていうやつね。それとどう関係があるのよ」

「だいたい合ってますね。関係は大有りですよ。争いを終わらせた人こそが、疾風の銀狼なんですからね」
 驚きの事実に魔術師は口をだらしなくポカンと開ける。開いた口が塞がらなくなるとはこういうことを言うんですね、と魔導師は何故か思った。だらしなく開けていた口を閉じて、魔術師は黒いローブで隠れている眉を寄せた。

「驚きましたか。まあ、そういうことなので覚えておくといいですね。それじゃあ、やらなければいけない事がありますから、私は行きます」

 そう言って、通路を歩いてどこかに行ってしまった。見えなくなった魔導師を確認すると息を吐き、疾風の銀狼と聞いた時から胸騒ぎが治まらない胸に手を当てる。それは不安というより、なにか運命的な感じのするものだった。何故そう感じたか分からない自分にもどかしさを覚えるのであった。

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