雪人

 不穏な空気が胸の中で渦巻き、それがルイを夢の中から起こした。変な心境に戸惑いながらもベッドから起き上がり、黒いブーツに足を通す。立ち上がって体をほぐし、頭が覚めきらないまま部屋から真ん中の大きなテーブルが置いてある場所へと移動した。
 と、同時にドドンっと上からの大きな地響きがアジト全体を揺らす。ルイの覚めきらない寝起きの頭がその音や振動で覚醒する。だがルイは、その音に慌てるでもなく冷静な頭で石の壁にもたれかかった。
 何事かと思い石のテーブルがある場所へと、アジトのメンバーが集まってくる。集まってきた人達はお互いの顔を見て話したり、不安そうな顔色をした人達で収拾がつかなくなってる。
 ミフレやエレミールが来ると、困ったような視線をアジトメンバーであるダントがミフレに送った。その視線に気付いたミフレは頷き、口を開き目一杯の空気を吸い込んだ。肺に溜まった空気を吐き出した。

「こっち見やがれぇぇ!」
 煩いぐらいの大きな声が広場の空気を振動させた。シーンと先程まで騒がしかった場所が静まり返る。静まり帰った場所から聞こえるのは地響きだけとなった。それに満足したミフレはみんなに聞かせるように話しだす。
「何が起こってるか分かる奴いるか?」

 静かな場所によく通る高い声が響く。この問い掛けにお互いの顔を見るだけで、答えれるものはいなかった。誰も何にも知らないことに少しがっかりしたように眉を下げた。そして、ミフレはずっと壁にもたれ掛かったままで目を閉じているルイに視線を向けた。

「ルイは何か分かってるのか?」

 ルイは目蓋を開いてミフレに視線を向けた。

「何体いるかわからないけど、強化されたレッドウルフがいると思う。多分な」

 ルイは肩を竦め、曖昧に言った。釈然としない言葉にミフレは訝しげな表情をする。
 再び静まり返る空間が訪れた。暫らく続くと思われた静寂がシモーズによって破られる。

「あの……リーダー、普通のレッドウルフとは二倍ぐらい体長が違うのに遇ったんです」

 唇に人差し指を当てて考える仕草をしていたミフレは、地面に向けていた視線をシモーズに移す。ミフレの険しい表情にシモーズは少したじろいだ。

「そんな話し聞いてないぞ」

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