雪人
「す、すみません。そ、それでその時に見たレッドウルフですが、僕達じゃかないませんよ。そこのルイさんとエレミールさんか、リーダーじゃないと死んでしまいます。現に、一人殺されました」
そう言って、シモーズは悲しい表情で俯く。声音は少し悲しさが帯びていて震えていた。
シモーズの隣に立っているダントが見兼ねて背中を優しく擦る。
「すまないな、シモーズ。そんなことを話させて」
ミフレはシモーズの姿を見て、部下の気持ちを配慮できなかった自分に後悔する。そしてすぐに、亡くなったアジトのメンバーへ辛そうな表情で心の中で黙祷した。それをし終えたミフレはルイに向き直った。
「ルイ、三人で行こうか」
「いや、俺だけで行くよ。何体いるか分からないし、それより俺一人の方が楽だから」
「だ、だけどな――」
ミフレが話しを続けようとする口を、いつのまにか移動していたルイが塞ぐ。
リーダーの目の前にルイが一瞬で移動していたことにアジトメンバーやミフレは驚きを隠せない。その中でただ一人驚いていなかったのは、エレミールだけだった。納得のいかない表情をして、不満そうな視線を送っている。
「そんな表情をするなよ、エミル。大丈夫だって。俺が強いのは知ってるだろ」
「知ってるけど、やっぱり一人で行くのは良くないよ」
エレミールは心配そうな瞳でルイを見つめる。いつも戦うときは一人のルイがエレミールは心配で仕方なかった。いつか行ったきり戻ってこなくなるんじゃないかといつも心中では不安でいっぱいだった。
エレミールの視線にルイは苦笑する。
「心配するな。戻ってくるから」
ミフレの隣に立っているエレミールまで歩み寄り、ポンと頭に手を乗せる。そして、階段の方へと歩いていって上り見えなくなった。