雪人

 月の光すら届かない黒一色に染め上げられた場所では見えないことや方向感覚はおろか、人間なら誰しも恐怖を覚える空間で、魔物と戦おうという人など断言できるほどいないだろう。ましてや、強化されてあるだろう魔物と戦うなどもってのほかだ。普通の人であれば絶望的な場面。
 だが、ルイは違った。 ルイにとってこの闇は、正直ここまで何も見えないとは思ってもみない想定外だった。少なからず何処かしらから光が漏れている状況しか想定してなかった。これではまるで、目を瞑って戦っているのと同じ状態じゃないかと胸中で呟いた。しかしこの状況でルイは、悲観するどころかスリルがあり、胸が踊ることに喜びを隠せなかった。自然と口元は吊り上がり、顔は笑顔を浮かべる。

「お前達魔物にとって有利な時間だから楽しませてくれよ」

 不敵な笑顔を浮かべて、今、闇の世界での戦いに火蓋をきった。
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