雪人
高温の熱を放つ火の手が、ルイのもとまで迫ってきた時、高い声が響いた。
「スプラッシュ」
火の手に向けて勢いよく大量の水が放たれる。水が熱によって蒸発する音を立て、白い煙を発生させながら火が消えていった。
ルイは水魔法を放った人物を訝しげな表情で見る。
「どうしているんだ、エレミール」
アジトを繋ぐ階段の傍で立っているエレミールは、ルイの問い掛けを無視して、紅い炎に満たされている森を見つめた。パキパキと焚き火のような音を立てながら木が燃え、夜空の下で火の粉が宙を舞う。それがさらに、風に乗ってまだ燃えていない木々に飛び移り、火の手を広げた。その様子を悲しげな空色の瞳が映していた。
紅い炎に照らされたエレミールは両手を夜空に向けてかざし、詠唱に入る。
「天の恵みは罪無き者を包み込み、全てを洗い流す慈雨となれ。レインディング」
夜空に小さな黒い雨雲が現れ、それが徐々に広がるように大きくなり、森林火事をすべて覆い隠せる程までに成長した。雨雲からポツポツと大地に少量の雨を振らし、いつしか大量の雨を降らすまでとなった。それは森林火事にとってみれば天の恵みのように感じられるだろう。
少しずつだが、確実に火が消えていっているのを見てエレミールは雨の中、安心する。そして、ルイの方を向いた。
「どうして森の中で火を使ったのよ」
咎めるような視線がルイに向けられる。それをバツが悪そうにルイは視線を逸らした。
「まあ、なんだ……真っ暗だったからな。仕方なかったんだよ」
「それにしても、もっとましなやり方ってもんがあるでしょ」
エレミールは呆れたような表情で肩を竦めた。
雨が継続的に降ったおかげで火は消化され、広範囲に荒廃した大地のような景色へと成り果てた。暫らくしたら広大な雨雲が霧消していき、澄み渡った夜空が覗く。
「とにかく、一旦アジトに戻る」
二人はアジトへの階段に向かって歩きだした。
―――――――――
アジトに着いた二人はまず最初に、ミフレとダントだけを呼び他は全て部屋へと戻らせた。四人はテーブルに向き合う形で、椅子に腰掛けた。
「単刀直入に言うけど、魔導師達にアジトの居場所が知られた。そして、今から潜入する。夜明け頃には着くだろうから行くぞ」
「スプラッシュ」
火の手に向けて勢いよく大量の水が放たれる。水が熱によって蒸発する音を立て、白い煙を発生させながら火が消えていった。
ルイは水魔法を放った人物を訝しげな表情で見る。
「どうしているんだ、エレミール」
アジトを繋ぐ階段の傍で立っているエレミールは、ルイの問い掛けを無視して、紅い炎に満たされている森を見つめた。パキパキと焚き火のような音を立てながら木が燃え、夜空の下で火の粉が宙を舞う。それがさらに、風に乗ってまだ燃えていない木々に飛び移り、火の手を広げた。その様子を悲しげな空色の瞳が映していた。
紅い炎に照らされたエレミールは両手を夜空に向けてかざし、詠唱に入る。
「天の恵みは罪無き者を包み込み、全てを洗い流す慈雨となれ。レインディング」
夜空に小さな黒い雨雲が現れ、それが徐々に広がるように大きくなり、森林火事をすべて覆い隠せる程までに成長した。雨雲からポツポツと大地に少量の雨を振らし、いつしか大量の雨を降らすまでとなった。それは森林火事にとってみれば天の恵みのように感じられるだろう。
少しずつだが、確実に火が消えていっているのを見てエレミールは雨の中、安心する。そして、ルイの方を向いた。
「どうして森の中で火を使ったのよ」
咎めるような視線がルイに向けられる。それをバツが悪そうにルイは視線を逸らした。
「まあ、なんだ……真っ暗だったからな。仕方なかったんだよ」
「それにしても、もっとましなやり方ってもんがあるでしょ」
エレミールは呆れたような表情で肩を竦めた。
雨が継続的に降ったおかげで火は消化され、広範囲に荒廃した大地のような景色へと成り果てた。暫らくしたら広大な雨雲が霧消していき、澄み渡った夜空が覗く。
「とにかく、一旦アジトに戻る」
二人はアジトへの階段に向かって歩きだした。
―――――――――
アジトに着いた二人はまず最初に、ミフレとダントだけを呼び他は全て部屋へと戻らせた。四人はテーブルに向き合う形で、椅子に腰掛けた。
「単刀直入に言うけど、魔導師達にアジトの居場所が知られた。そして、今から潜入する。夜明け頃には着くだろうから行くぞ」