雪人
ミフレは顎に手を添えて、考えて唸りながら言った。それを聞いたエレミールは足早にこの家から出るため玄関へと向かう。ギシギシと板が軋む音を立て、エレミールが通った場所の地面から埃が舞い上がった。ガタンッと木製の棚に当り、何かが落ちる音がする。そんなことお構いなしに、さっさとドアを開けてエレミールは出ていってしまった。
「エミルちゃんは潔癖性なのか?」
「いや、ただ単に我儘なだけだって」
眉を上げ、呆れたように言葉は吐き出された。それに、そうなのか、と呟き曖昧な笑みを浮かべてミフレはエレミールを追って出ていった。
ルイも続くように歩きだそうとするが、地面に転がっている一枚の写真縦が視界に入り、歩のを止める。さっきエミルが棚にぶつけた拍子に落ちたんだろうと思い、拾うために屈みこんだ。拾い上げた写真縦に飾られている写真の埃を払って見てみる。取り払った埃から覗くそれは、幸せに溢れた家族写真だった。真ん中に満面の笑顔を幼い少女は浮かべ、両親がその両隣で娘の手を握って幸せな表情をしていた。一見普通の家族が写っているように見えるが、ルイはそれの左下に綴られているサインに、釘付けになって見ている。
――M.H……
頭の中では混乱して、様々な考えが駆け巡っていた。どうしてこれが、と思わず零れそうになる言葉を飲み込み、写真を抜き取ってポケットに押し込んだ。これは自分だけの胸に留めておこうと決めて、ルイはエレミール達を追って部屋から出たのだった。