雪人
ミフレは自分の発言が更にルイの頬がまた引きつり、神経を逆撫でしているのに気付かず言葉をまくしたてた。
その言葉を聞いたマスターが途端に、豪快な笑い声を上げるのを三人は訝しげに見やる。
「何で慌ててるのかと思えばそんなことか。俺は別にそこの兄ちゃんを女とは間違いちゃいねぇぜ」とマスターが笑った。
「胸がないから一目でわかってた」
「じゃあどうしてあんなこと言ったんだ?」
ミフレが理解できないといった顔でマスターの次の言葉を待つ。
マスターは鼻のしたに蓄えた髭を擦りながら神妙な面持ちで口を開いた。
「悪気があって言ってみたんだ」
この言葉がルイの怒りを頂点に達しさせた。
「ふざけんなくそぼけオヤジが!」
この後、この酒場始まって以来の大乱闘になったとさ。
酒場で三人の話し合った結果、貴族街に王家が使う抜け道があるというのを滅多打ちにされたマスターから聞き出し、三人は貴族街に向けて歩いていた。
ただ、三人並んで歩いているというわけではなかった。ルイを先頭にミフレとエレミールが10メートル下がって酒場を出てから歩いていた。
「チッ!」
通りの石ころを蹴りつけ苛立った口調でルイが舌打ちをする。それに目を背けて見ないようにする、触らぬ神に祟り無しといった感じで後ろを歩いている二人。
「ちょっと、どうするの?」
前方に視線を向けたまま口元を隠しながら隣を歩くミフレにエレミールが小さく呼び掛けた。
「アタシに聞くなよ。エミルちゃんの方がルイと付き合いは長いんだから。聞きたいのはこっちだって。それよりなんとかならないのか?」
「今のルイのことは私じゃどうにもならないよ」
溜め息をつきながらルイを宥めることのできない自分に、エレミールは歯痒さを覚えるのだった。
肩をポンポンと軽く叩かれ、隣を歩くミフレを不思議そうに見る。
「アタシが言ったのはルイのことだけじゃないよ」
「え? じゃあ、何?」
エレミールの問い掛けに言葉で答えようとせず、ミフレは親指で後ろを指した。その方向を見てエレミールがああ、と納得したように頷く。
エレミールが見たものとは、数人がそちらこちらに散らばって地面に俯せの状態で倒れている光景だった。
貧困街は普通なら一人二人倒れていたぐらいならそこまで珍しくない。
その言葉を聞いたマスターが途端に、豪快な笑い声を上げるのを三人は訝しげに見やる。
「何で慌ててるのかと思えばそんなことか。俺は別にそこの兄ちゃんを女とは間違いちゃいねぇぜ」とマスターが笑った。
「胸がないから一目でわかってた」
「じゃあどうしてあんなこと言ったんだ?」
ミフレが理解できないといった顔でマスターの次の言葉を待つ。
マスターは鼻のしたに蓄えた髭を擦りながら神妙な面持ちで口を開いた。
「悪気があって言ってみたんだ」
この言葉がルイの怒りを頂点に達しさせた。
「ふざけんなくそぼけオヤジが!」
この後、この酒場始まって以来の大乱闘になったとさ。
酒場で三人の話し合った結果、貴族街に王家が使う抜け道があるというのを滅多打ちにされたマスターから聞き出し、三人は貴族街に向けて歩いていた。
ただ、三人並んで歩いているというわけではなかった。ルイを先頭にミフレとエレミールが10メートル下がって酒場を出てから歩いていた。
「チッ!」
通りの石ころを蹴りつけ苛立った口調でルイが舌打ちをする。それに目を背けて見ないようにする、触らぬ神に祟り無しといった感じで後ろを歩いている二人。
「ちょっと、どうするの?」
前方に視線を向けたまま口元を隠しながら隣を歩くミフレにエレミールが小さく呼び掛けた。
「アタシに聞くなよ。エミルちゃんの方がルイと付き合いは長いんだから。聞きたいのはこっちだって。それよりなんとかならないのか?」
「今のルイのことは私じゃどうにもならないよ」
溜め息をつきながらルイを宥めることのできない自分に、エレミールは歯痒さを覚えるのだった。
肩をポンポンと軽く叩かれ、隣を歩くミフレを不思議そうに見る。
「アタシが言ったのはルイのことだけじゃないよ」
「え? じゃあ、何?」
エレミールの問い掛けに言葉で答えようとせず、ミフレは親指で後ろを指した。その方向を見てエレミールがああ、と納得したように頷く。
エレミールが見たものとは、数人がそちらこちらに散らばって地面に俯せの状態で倒れている光景だった。
貧困街は普通なら一人二人倒れていたぐらいならそこまで珍しくない。