雪人
「そんなことはどうでもいいわ。貴方たち随分騒いだみたいね。ほとぼりが覚めるまで匿うからついてきて」
「おい、ルイ。そんな甘い話信じないだろ?
 ミフレにとっては、今会ったばかりの女性から持ちかけられた話なんて信じるわけが無かった。何より自分達は城に繋がる抜け道へと向かっていてそんな話を聞いて無駄足を踏んでいる場合でもなかった。そのため、ルイに確認するように聞いたのだ。
「わかった、匿ってくれよ」
「何の冗談なんだ、ルイ!?」
「ちょっとミフレちゃん抑えて」
 今にも飛び掛かりそうなミフレをエレミールが両腕掴み抑える。
「話はこれで終わりね。ついてきて」
 踵を返して女性が走って行く。
「ミフレ、今の女性はちょっとした知り合いだ」
 こうでも言わないと嫌々でも納得しないミフレを説得できないと思ったルイなりの思慮から出た言葉だった。
「そういってアタシに納得させたいんだろ。わからないとでも思ったか」
 エレミールの拘束を振り払って、ふんと鼻を鳴らした。
「まあいい。ここは譲歩してやるよ。だが、今の奴についていった結果、最悪の事態になったらルイ、一発殴らせろよ」
「ああ、わかった。それでお前の気が済むならな。ほら、行くぞ」
 こうして三人は女性の跡を追うために走りだした。

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