雪人
吹き飛ばされた身体を空中で回転させて、地面に足をつけて態勢を整えたソクラサにルイの氷剣の追撃が入る。
それを今までの動きとは比べれることのできない素早さで氷剣をレイピアでいなした。二段目のルイの上段蹴りのモーションを、目で捕捉したソクラサが瞬時に後ろに跳躍して魔法を詠唱した。遅れてルイの蹴が空をきる。
「降りしきる岩は破壊をせしめんとする、隕石となれ。ロックレイン」
次の瞬間、大同小異ではあるけれども、数多の岩があたかも隕石のようにルイに向かって降っていく。
ゴオーと轟音を響かせ突進してくる無数の大きな岩にルイは怯むどころか、立ち向かい見据えて氷剣を下段に構えた。
「裏一式“破風漣戟”」
ルイの剣戟は上空に向けて見ることのできない光速に振り抜かれた。
振り抜かれた場所からはまるでさざ波のように無数の真空波が全ての岩に向かって放たれた。
真空波が直撃した岩はバコっと粉砕され、その破片がチラチラと地面に零れていく。
視界には岩の破片がチラつく中、二人はそんなことを意に介した様子もなく、自らの獲物を構えていた。
そんな中、ソクラサが口を開いて、
「さすがですね、私の組織が危険分子として指名しているのかがよくわかります」と不気味に笑った。
それを見たルイが「お前は憐れだな」
と憐憫な表情でソクラサに言った。
ルイの言葉に反応したソクラサの眉がひくついた。どうやら感に障ったらしい。
「私が憐れですって!?」
何を馬鹿げたことを、とソクラサは思った。私は憐れではない。憐れむ方なのだ。
ソクラサの心の声など分かるべくもなく、ルイは抑揚のない声で答えた。
「ああ、そうだ。お前は組織にいいように操られているただの駒だ。まるで先刻見たレミィ=ミュウル=シィーダリスのようにな。地国という組織に操られた王女とお前は酷似している。だから、お前は王女を見ていていい気はしなかっただろうな、自分を見ているようでな。ここまで言えば分かるだろう、お前は操られる駒だとわかっているんだろ、自分がな」
死刑判決を受けたような衝撃を心にソクラサは受けた。胸の内がザワザワと騒めく。
ソクラサの声は震えるようにして出された。
「操られている……そんなことあってはならない!」
ブワッと急にソクラサの魔力が膨大に流れだしたのだった。
それを今までの動きとは比べれることのできない素早さで氷剣をレイピアでいなした。二段目のルイの上段蹴りのモーションを、目で捕捉したソクラサが瞬時に後ろに跳躍して魔法を詠唱した。遅れてルイの蹴が空をきる。
「降りしきる岩は破壊をせしめんとする、隕石となれ。ロックレイン」
次の瞬間、大同小異ではあるけれども、数多の岩があたかも隕石のようにルイに向かって降っていく。
ゴオーと轟音を響かせ突進してくる無数の大きな岩にルイは怯むどころか、立ち向かい見据えて氷剣を下段に構えた。
「裏一式“破風漣戟”」
ルイの剣戟は上空に向けて見ることのできない光速に振り抜かれた。
振り抜かれた場所からはまるでさざ波のように無数の真空波が全ての岩に向かって放たれた。
真空波が直撃した岩はバコっと粉砕され、その破片がチラチラと地面に零れていく。
視界には岩の破片がチラつく中、二人はそんなことを意に介した様子もなく、自らの獲物を構えていた。
そんな中、ソクラサが口を開いて、
「さすがですね、私の組織が危険分子として指名しているのかがよくわかります」と不気味に笑った。
それを見たルイが「お前は憐れだな」
と憐憫な表情でソクラサに言った。
ルイの言葉に反応したソクラサの眉がひくついた。どうやら感に障ったらしい。
「私が憐れですって!?」
何を馬鹿げたことを、とソクラサは思った。私は憐れではない。憐れむ方なのだ。
ソクラサの心の声など分かるべくもなく、ルイは抑揚のない声で答えた。
「ああ、そうだ。お前は組織にいいように操られているただの駒だ。まるで先刻見たレミィ=ミュウル=シィーダリスのようにな。地国という組織に操られた王女とお前は酷似している。だから、お前は王女を見ていていい気はしなかっただろうな、自分を見ているようでな。ここまで言えば分かるだろう、お前は操られる駒だとわかっているんだろ、自分がな」
死刑判決を受けたような衝撃を心にソクラサは受けた。胸の内がザワザワと騒めく。
ソクラサの声は震えるようにして出された。
「操られている……そんなことあってはならない!」
ブワッと急にソクラサの魔力が膨大に流れだしたのだった。