雪人
ルイとソクラサが戦闘開始した同時刻、城の裏にある広場では緊張感の空気があるとは言えない二人が対峙していた。
片方は片手にスコップを持ったモグラ、もう片方はにこにこして笑っている二翼の付いた幼い少女。
決闘とは程遠い二人だった。
「おい、シュレリア。お前中級精霊に昇格したんだってな、精霊諜報に聞いたぜ。前見たときにはそんな翼なんかなかったじゃねえか」
聞き慣れない単語をクーパは言った。止まることを知らない図々しい態度でだ。
精霊諜報。これは一系統の属性に必ず精霊とはまた別に存在する精霊のことをいうのだ。
この精霊はどの精霊が亡くなった、どの精霊が昇格した、などを伝える役割を持っている。加えて、精霊王に仕えている諜報者でもあるこの精霊は、精霊達の間ではクーパが述べたように精霊諜報と呼ばれている。
姿形は精霊達しか知らない。何故なら、精霊の前にしか現われないからだった。
「この翼ね〜昇格したら急に生えてきたの〜」
クーパの態度に気分を害することもなく、シュレリアは愛らしい笑顔で答えた。見てみてと、いっているのか翼を閉じたり開いたりしている。
クーパは細い眉を上げた。
「へっ! お前が中級精霊だがなんだが関係ねえよ。ぶっ倒してやる」
悔しさがちょっとだけ混じった響きで、やはり悔しさを隠しきれない顔でクーパは言った。自分と同じ時期に精霊になったシュレリアが先に中級精霊に昇格したことに、内心かなり悔しがってたりする。
それでも隠しきれていない辺り、クーパは直情型らしい。
シュレリアはクーパが気に掛かっていることをずけずけと無邪気に言ってのけてしまった。
「ごめんね〜クーパ〜。先に昇格しちゃって〜」
この言葉にクーパの表情に怒りが出始めた。眉間に皺をくっきり寄せる。
「貴様っ! 俺様が気になってることをこうもずけずけいいやがって張り倒してやる! それに俺はクーパだ、勝手に人の名前に語尾伸ばしてんじゃねえ!」
叫ぶようにして怒鳴り込んだクーパにシュレリアがきょとんとする。何故怒られているのかわかっていない表情だ。
シュレリアはよくわかっていないが笑顔で謝ってくる。
「ごめんね〜」
全く悪怯れているのか甚だおかしい笑顔に、反応したクーパが更に怒鳴った。
片方は片手にスコップを持ったモグラ、もう片方はにこにこして笑っている二翼の付いた幼い少女。
決闘とは程遠い二人だった。
「おい、シュレリア。お前中級精霊に昇格したんだってな、精霊諜報に聞いたぜ。前見たときにはそんな翼なんかなかったじゃねえか」
聞き慣れない単語をクーパは言った。止まることを知らない図々しい態度でだ。
精霊諜報。これは一系統の属性に必ず精霊とはまた別に存在する精霊のことをいうのだ。
この精霊はどの精霊が亡くなった、どの精霊が昇格した、などを伝える役割を持っている。加えて、精霊王に仕えている諜報者でもあるこの精霊は、精霊達の間ではクーパが述べたように精霊諜報と呼ばれている。
姿形は精霊達しか知らない。何故なら、精霊の前にしか現われないからだった。
「この翼ね〜昇格したら急に生えてきたの〜」
クーパの態度に気分を害することもなく、シュレリアは愛らしい笑顔で答えた。見てみてと、いっているのか翼を閉じたり開いたりしている。
クーパは細い眉を上げた。
「へっ! お前が中級精霊だがなんだが関係ねえよ。ぶっ倒してやる」
悔しさがちょっとだけ混じった響きで、やはり悔しさを隠しきれない顔でクーパは言った。自分と同じ時期に精霊になったシュレリアが先に中級精霊に昇格したことに、内心かなり悔しがってたりする。
それでも隠しきれていない辺り、クーパは直情型らしい。
シュレリアはクーパが気に掛かっていることをずけずけと無邪気に言ってのけてしまった。
「ごめんね〜クーパ〜。先に昇格しちゃって〜」
この言葉にクーパの表情に怒りが出始めた。眉間に皺をくっきり寄せる。
「貴様っ! 俺様が気になってることをこうもずけずけいいやがって張り倒してやる! それに俺はクーパだ、勝手に人の名前に語尾伸ばしてんじゃねえ!」
叫ぶようにして怒鳴り込んだクーパにシュレリアがきょとんとする。何故怒られているのかわかっていない表情だ。
シュレリアはよくわかっていないが笑顔で謝ってくる。
「ごめんね〜」
全く悪怯れているのか甚だおかしい笑顔に、反応したクーパが更に怒鳴った。