雪人
突然まがまがしい茶色い魔力が溢れだしたソクラサをルイは水のように平静に眺めていた。何処か冷めた目付きで成り行きを見ている風でもあった。
「ルイ〜!」
背後から可愛らしい声がかかり、ルイは振り返る。案の定、シュレリアが翼をはばたかせてこちらに向かってきていた。
ルイはシュレリアよりも、シュレリアが腕を掴んでいるモグラに目がいった。
「そいつはなんだ?」
「クーパだよ〜ルイと契約したいんだって〜」
と言ってクーパの腕を放した。クーパが顔面から着地するのかと思えば、今回は足からちゃんと着地する。
クーパは何処か照れ臭そうに鼻を掻いて言った。
「契約してくれ」
「クーパ……裏切るんですね」
黙っていたソクラサがクーパの発言を聞き、ぼやくようにして言った。顔は俯いていて伺うことは出来ない。
ソクラサの魔力は更に奔流して、辺りの空気がうなった。
滝のように上に流れていた幾筋の魔力の線は、逆流するかのようにソクラサの体内に回帰していく。
クーパは怪奇な現象に眉をひそめるも、契約者ソクラサに向って啖呵をきった。
「裏切るもてめえと契約なんかしたくなかったぜ! あれは不本意な契約だ!」
肩に担いでいたスコップの先端をソクラサに、自分が一番格好よく思っている仕草でクーパが向けた。
それを見ているシュレリアがパチパチと拍手している。
なんとも張り詰めていた空気が緩くなることだろうか、二人の行動のせいで。
ソクラサは俯いていた顔を上げた。紳士然とした雰囲気はなく、醜悪なオーラが出ているのかと錯覚される形相をしている。
「そんなことはもうどうでもいい」
ソクラサの口調が丁寧ではなくなっていた。
更に言葉を続ける。
「任務なんてどうでもいい……この都市ごと全部滅べ!」
狂声を上げると同時に、体内に回帰していた魔力が突然奔流され、ソクラサを中心に渦を巻き始めた。大気が震え、夜の空に漂っていた薄い雲が畏怖したようにグライドアースから離れていく。
「数多の流星群は――」
渦を巻いていた膨大な魔力がソクラサの声に反応し、巨大な円柱となって空を突き抜けていく。
瞬間、ソクラサを中心に突風が吹き付けた。
「ルイ〜!」
背後から可愛らしい声がかかり、ルイは振り返る。案の定、シュレリアが翼をはばたかせてこちらに向かってきていた。
ルイはシュレリアよりも、シュレリアが腕を掴んでいるモグラに目がいった。
「そいつはなんだ?」
「クーパだよ〜ルイと契約したいんだって〜」
と言ってクーパの腕を放した。クーパが顔面から着地するのかと思えば、今回は足からちゃんと着地する。
クーパは何処か照れ臭そうに鼻を掻いて言った。
「契約してくれ」
「クーパ……裏切るんですね」
黙っていたソクラサがクーパの発言を聞き、ぼやくようにして言った。顔は俯いていて伺うことは出来ない。
ソクラサの魔力は更に奔流して、辺りの空気がうなった。
滝のように上に流れていた幾筋の魔力の線は、逆流するかのようにソクラサの体内に回帰していく。
クーパは怪奇な現象に眉をひそめるも、契約者ソクラサに向って啖呵をきった。
「裏切るもてめえと契約なんかしたくなかったぜ! あれは不本意な契約だ!」
肩に担いでいたスコップの先端をソクラサに、自分が一番格好よく思っている仕草でクーパが向けた。
それを見ているシュレリアがパチパチと拍手している。
なんとも張り詰めていた空気が緩くなることだろうか、二人の行動のせいで。
ソクラサは俯いていた顔を上げた。紳士然とした雰囲気はなく、醜悪なオーラが出ているのかと錯覚される形相をしている。
「そんなことはもうどうでもいい」
ソクラサの口調が丁寧ではなくなっていた。
更に言葉を続ける。
「任務なんてどうでもいい……この都市ごと全部滅べ!」
狂声を上げると同時に、体内に回帰していた魔力が突然奔流され、ソクラサを中心に渦を巻き始めた。大気が震え、夜の空に漂っていた薄い雲が畏怖したようにグライドアースから離れていく。
「数多の流星群は――」
渦を巻いていた膨大な魔力がソクラサの声に反応し、巨大な円柱となって空を突き抜けていく。
瞬間、ソクラサを中心に突風が吹き付けた。