雪人
何かが爆発したような音と爆風がルイとニーナがいる場所まで届き、二人は目を腕で隠して風が止むのを待つ。漸く風が止み、二人はその発生した中心に視線を向けると、二人の男性がお互いを見てじっと佇んだままいる。
「今の音や風って……あの二人がしたの?」
「うん、多分そうだろうな」
ニーナは風でボサボサになった髪を手櫛で直しながらルイに投げ掛けた。
ルイは乱れた髪を直しながら頷き、横に居るニーナに顔を向け言う。
「どっちが強いかわかるか?」
「えっ? 水色の髪をした人じゃないの? だって控え室であんな事言ってたじゃない」
ルイの質問の意図がわからず、首を傾けて不思議そうに言う。
「信じられないけど、緑色の髪をした人の方が強いんだよ。見るかぎりお互い全く本気を出していないようだけど……」
ルイは苦虫を噛み潰したような表情をし、手を握りギュッと力を入れ、口をギリッと音が鳴るぐらい歯に力を入れる。
一方観客席では師匠が驚いた表情を顔に浮かべ、舞台にいる爆風でさらにボサボサ頭になった緑髪をした男――レイド――にくぎづけになっていた。
「レイド……どうしてあんたがそこにいるんだ……もしかして……メリルに会いにきたのか……」
呟くような微かな声を出すが、観客席に居る人達による騒音や声の煩さに、誰の名前なのか定かになることがなく掻き消されることになる。
闘技場舞台ではリゼルとレイドの均衡が破られ、またしてもリゼルが攻撃を仕掛けるために走りだす。
「水刃槍」
槍の切っ先に水を纏わせ、走りながら振りぬくと水が三日月型の刄のような形でレイドに飛んでいく。
レイドは避けずに手を前に突き出し、魔法名を紡ぐ。
「スプラッシュ」
レイドの掌からいきよいよく水が発射され、リゼルが放った水の刄を吸収してリゼルへと向かう。それを足に力を入れて横に跳んで回避し、地面に着くとすぐにまた跳んでレイドへ接近し、槍で常人には捉えることができない突きを放つ。