雪人
 マスターは満足そうにコーヒーを飲むルイを見てあどけなさを感じる。本当に自分の考えがあってるのかとさえ思う。論より証拠と言う言葉があるようにいくら頭の中で考えたところで意味がない。本人かどうか聞くほうが速いと結論づけ、未だ満足そうにコーヒーを飲むルイにマスターは遠慮がちに言う。

「ルイ君………君は…ジハ「ルイここにいるんでしょ!?」

 マスターが何か言い掛けたので、コーヒーから視線をマスターに移し、次の言葉を待っている。続きの言葉を話そうとしたマスターだが、途中で女性の大きな声によって遮られる。三人とも声が聞こえたほうを向く。
 大きな声を発した女性は酒場の入り口に居て、ルイの存在に気付くと手を挙げながらこちらに近づいてくる。ルイも同様に顔見知った人たちなので、手を挙げて軽く挨拶して自分の左右の席へと促す。
 ルイの左右の席にはどっちも違った美しさを兼ね備えた女性が腰掛ける。両手に花とはこういうときに使うんだなと何故か妙に納得したマスター。ミリアは何故かむっとした表情でこちらを見てくるのに訳が分からず首を傾げるルイ。
 二人の様子にいち早く気付いたメリルはあらあらと心の中で悪戯な笑みを浮かべる。どうやっていじめるか考えていると、どうやら我慢しきれず可愛らしい女の子が私にすこし敵意を持ち聞いてくる。

「あの、あなたはルイ君の知り合いか何かですか?あちらの女の子もですか?」

 話し掛けられたメリルは少し思案し、何か思いついたのか悪戯な笑みを浮かべ、不意にルイの肩に寄り掛かり意地悪そうな表情で答える。

「私とルイは古くからの知り合いよ。こんな風にできるぐらいにね」

 二人の話など知らないルイは寄り掛かられて、ギョッとした表情で固まり、少し顔が引きつり気味である。
 ルイと二人で話していたエレミールはメリルがルイの肩に寄り掛かっているのを見てこちらもむっとした表情で見るが、どこか羨ましそうな感じで見ていたりもする。

「そうですか!」

 怒鳴り気味にそう言って、ミリアはカウンターの奥へとドスドスと言わんばかりに足を地面に強く踏み、どこかへ行ってしまった。
< 89 / 216 >

この作品をシェア

pagetop