ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
ああ! もう!

暗くなっちゃだめだよ、わたし。

忘れるって決めたんだもん。いまだにちょっとしたことで思い出しちゃうなんて成長ないよ。

ささ。気を取り直して。


「た、食べましょうか」


もう一度、お箸を動かしてお魚を口に入れる。

でも思いのほかおいしいお料理で。


「このムニエルおいしいですよ!」


あまりのことに感動してしまった。


「なんのお魚なんでしょうね?」

「クエだよ」

「クエ?」

「そう。見た目は悪いんだけど味は格別で高級魚として扱われている魚。知らない?」

「ん~なんとなく聞いたことがあるような」


ただでさえ回らない頭が梅酒のせいでよけい回らなくなっている。

一生懸命思い出そうとしていたら、世良課長にため息をはかれてしまった。
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