ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
「なに?」

「……西倉さんのことなんだけど」

「大丈夫だよ。わたし、引き留めないから」

「え?」

「西倉さんがわたしと別れたいって言ってきたら引き留めないよ。潔く諦めるから。ただ……自分から手放す勇気はないの。だからわたしからは言えない。それだけは許して」

「夏帆莉ちゃん……」

「話しってそのことでしょ? ならもういいかな。わたし、仕事があるから」


わたしはそのまま1階に到着したエレベーターに乗り込んだ。

受付嬢の楓ちゃんはあとを追って来ることはできない。

わたしはそのまま設計課に戻った。


正直、楓ちゃんの顔は見たくもない。

口もききたくない。


薄らとかげりの見えるわたしとヒロくんの関係の向こうに、楓ちゃんの満足げな顔が見えたような気がした。
< 206 / 311 >

この作品をシェア

pagetop