【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】
職場であんなことがあったなんて、
伝えられないまま、
俺は当たり障りのない言葉で
彼女に甘えていく。
彼女は俺を家の中に招き入れると
彼女の唇を貪るように
何度も何度も唇を重ねた。
こぼれる甘い吐息は
艶やかな調べとなって
家の中に響いていく。
何度も何度も抱きしめて
力が抜けていく彼女を支えるように
何度も何度も彼女を啄んだ。
お互いが崩れ落ちるように、
倒れ込んでようやく、
少し冷静に思考が落ち着いていく。
神楽さんはそのまま、
晩御飯の支度を続けて、
俺は久しぶりに彼女の手料理を食べる。
彼女の手料理は
ほっとする味で
そのご飯を食べる度に
俺自身が
少しずつ救われていくのを感じた。
やっぱり神楽さんの傍が
俺にとって、唯一安らげる場所。
それが束の間の
安らぎだとしても……。
食事の後は、何時ものように
リストの愛の夢をリクエスト。
スタインウェイに
向かって静かに演奏を続ける彼女を
ただ見てるだけでは我慢できずに
背後からゆっくりと抱きしめる。
彼女の耳を指先で辿り、
悪戯するように
息を吹きかける。
感じているのか、
彼女は少し体を震わせる。
そんな彼女の反応が嬉しくて、
愛の夢を奏で続ける
彼女に、何度も小さな悪戯を重ねていく。
彼女のうなじに唇を寄せて
そのままひと舐め。
何とか演奏を終えた
神楽さんは、もうっと小さく頬を膨らませて
起こった素振りを見せながら
俺に自らの唇を重ねてくる。
我慢なんて出来るはずがない。
俺自身の心が
彼女が欲しいと求め続ける。
そして彼女の心も、
俺を求め続けてくれる。
そんな彼女を抱き上げて、
彼女の部屋へと向かうと
そのままベットに倒れ込んで
彼女の体にゆっくり触れていく。
双丘に口づけしながら、
ゆっくりと指先は下へ下へと
彼女の花弁を求めて彷徨う。