【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




そんな彼女にキスを落として
指先は、彼女の肌を
忙しなく触れていく。



久し振りに抱いた
彼女の涙は何処までも美しかった。



この時間が
続けばいいのに……。




神楽さんを腕に抱きしめたまま、
朝を迎える……。







ようやく再会することが出来た彼女に、
俺は……これからも、こうやって
会いたいと素直に告げた。



社会的には、
不倫と思われるかも知れない。



だけど……今の俺が
俺として歩き続けるには
彼女の存在は紛れもなく必要不可欠だと
俺自身が知っているから。



『祐天寺を利用して力をつけたら
 迎えに行く。

 親父の夢も叶えて。

 だから……
 後、五年……いや、六年時間が欲しい。

 そしたら必ず、迎えに行くから』




そう告げた俺に、
彼女は嬉しそうに微笑み返した。




俺の宝物が、
もう一度、この手に戻ってきた瞬間。







どんな暗闇も、
隣を歩いてくれる神楽さんが居てくれれば
俺はそれだけで、強くなれる。


自らの野望を手に入れることが出来る。



そんな風に思えた。









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